秀峰・天山の懐に抱かれ、今も日本の自然豊かな里山風景が残る石体地区（小城市）は、12軒約40人が住む小さな集落です。集落の中にたたずむ「いやしの宿　ほのか」は、みかん農家の大石純史さん・美子さん夫妻が2008（平成 20）年に、オープンしました。1937（昭和12）年に建てられた自宅を、昔ながらの風情を残しつつ農家民宿として改築し、現在は四男の啓太さんと絢子さん夫妻も一緒に営んでいます。

ここではそば打ちやみかん狩り、たけのこ掘り、五右衛門風呂の火起こしや入浴、餅つきの体験など田舎暮らしを存分に楽しむことができます。「土に触れたり、自然を感じてほしい」と美子さん。日帰りも可能で、山菜や自家栽培の野菜などを使った手作りの田舎料理も味わえます。

ここでできる体験の一つに「神様巡り」があります。石体地区の山々は、知る人ぞ知る神仏習合の神秘的な場所。御神体の巨石をはじめ、大日如来や十一面観音像など、多くの神仏が地区のあちこちに祀られています。昔から地元の人が大事に守り続けてきた「神々が住む場所」を案内してもらいながら、清々しい空気と降り注ぐ光を全身に受け、心身を癒やしましょう。

春と秋には、大石さん家族が中心となって始めた「石体まつり」が「いやしの里　ほのか」周辺で開催されます。石体太鼓などの出し物や、農産物の販売などもあります。一度のぞいてみてください。

天山と脊振山系の山々と森林に囲まれた富士町にある嘉瀬川ダム貯水池「富士しゃくなげ湖」。そのほとりに直売所「ダムの駅富士しゃくなげの里」があります。富士町を中心に、地元で採れたほうれん草、白菜、大根など旬の新鮮野菜や果物をはじめ、地元の女性農家さんたちが作る梅干しやらっきょう漬け、たくあんなどの加工品が並びます。常連のお客さんの中には、「この人が作った漬物を、と指定して購入する人もいますよ」と店長の西さんは微笑みます。

標高約300ｍ、寒暖の差が大きくおいしい米づくりに適した富士町で、清らかに澄んだ山水で育った棚田米は、おいしいと評判です。購入者が好きな量を精米して持ち帰ることができます。敷地内には地下100mから湧き出る天然水を汲むことができますから、持ち帰ってごはんを炊いてみてはいかが。

直売所に併設される「レストラン風樹」では、季節の山菜が楽しめる「四季ご膳」や棚田米に合う県産食材を使った定食メニューが味わえます。

ダムの駅富士しゃくなげの里は、多くのライダーやドライバーが立ち寄ります。テラスで山の緑やダム湖をのんびりと眺めたり、周辺を散策したり、自然から癒やしと明日への元気をもらいましょう。

富士町の山中の一軒屋。杉の木のぬくもりに包まれた店内は、寒い日には薪ストーブが焚かれ、屋根の煙突から煙が立ちのぼります。隣接する小屋にはヤギが２頭。耕作放棄地で草をはんで育ったヤギのミルクを手しぼりして、チーズづくり―まさにアニメの世界をほうふつとさせる「シェ・ハイジ」。店名はフランス語で「ハイジの家」という意味だそうです。

同店が提供するランチは、金曜が軽食「気まぐれチーズプレート」、土曜～月曜は「シェハイジランチ」。塩やオイル、酢などシンプルな味付けで、地元の新鮮野菜をたっぷり使ったサラダやスープ、自家製チーズは肉料理にぴったりのソースに姿を変えるなど多彩な料理が楽しめます。緑に囲まれた静かな山間で「ゆっくり過ごしてほしい」と2人。訪れる人に癒しの場を提供しています。

ヤギのチーズはフレッシュと熟成の2種類、そのほかミルン牧場（神埼市背振町）の牛乳を使ったチーズも作っています。ステファンさん手づくりのカヌレやココナッツボールなどフランス菓子も好評です!!

標高約400ｍの三瀬高原にある「みつせ茶処やまぼうし」。自家農園「高島観光ブルーベリー園」で育てたブルーベリーをふんだんに使ったスイーツが味わえます。

品種は「ラビットアイ」を中心に約10種類。ラビットアイは文字通りウサギの目のように赤く、熟していくと黒く輝きが増していきます。「爽やかな酸味があり、甘味が強くておいしいですよ」と園主の高島勝美さん。食べ頃は7～9月。甘さを小さな実にたくわえて、ぷりっと張りのあるブルーベリーに育ちます。鈴なりに実った完熟のブルーベリーは、1粒ずつ手摘みで収穫します。

スイーツづくりを担当するのは、妻の登美子さんです。「完熟ブルーベリーパフェ」はブルーベリーのブランデー煮、ブルーベリーヨーグルトゼリー、ブルーベリーアイスなど10種類を重ね、最後に大粒のブルーベリーをたくさんトッピングしたブルーベリーづくしの絶品パフェ!!食べ進むほどにブルーベリーのさまざまな味わいが口の中に広がります。

濃厚なジュース「ブルーベリーの滴（しずく）」は、ブルーベリーだけをぜいたくに使った逸品で、ぜひ味わってほしいオススメのひと品。10㎏からわずか3.5ℓの果汁しか取れない素材を惜しみなく使った〝生産者ならでは〟のジュースです。

自然豊かな三瀬高原で、地元育ちのブルーベリーを堪能してください。

干し柿の産地として知られる山里・大和町松梅。地区のあちこちに皮をむいた柿が、暖簾（のれん）のように吊り下げられる干し柿の風景は、晩秋から冬の風物詩です。

そんな山里の杉木立に囲まれた場所に築270年の古民家があります。江頭嘉隆さんと高島賢一さんが営むゲストハウス「笑仲のやかた」です。ここは江頭さんが代々受け継いできた自宅。江頭さんが別の場所に住居を構えたため、立派な梁などいにしえの雰囲気を残しつつ使い勝手よく改築して、個人的な遊び場として使っていました。

2019年、ゲストハウスとしてオープンした古民家にはダイニングキッチン、テラス、ベッド2台を備えた寝室、座敷を板張りした広間、お風呂は五右衛門風呂の風呂釜を配置し、庭にはかまども。キッチンで好きなものをこしらえても良し、庭でバーベキューも一興です。部屋の壁にずらりと並ぶ焼酎は、江頭さんが大好きで集めたもの。すべて無料の飲み放題で、ゲストには嬉しいサービスです。

「テレビもなく、Wi-Fiもつながらない田舎の家。でも遊び場は十分にあります」という2人。春はたけのこ狩り、夏は近くを流れる名尾川の清流で川遊び、秋は隣の三瀬村でりんご狩り、冬は干し柿づくりも楽しめます。

仲間と焼酎を酌み交わしたり、家族で語り合ったり、別荘感覚でゆっくり流れる松梅時間を満喫してください。