のんびり楽しむ“完熟ブルーベリー”
佐賀県と長崎県の県境に位置し、天然林や水源が豊かな多良岳。その麓にある農園「のんびり山」では、自然に寄り添うようにしてブルーベリーやみかん(不知火)・レモン・ショウガが育てられています。
毎年7月、予約制でブルーベリーの摘み取り体験ができる観光農園をOPEN。静かな森の中にある農園で自由に散策を楽しみながら、採れたてのブルーベリーを味わうことができます。
ブルーベリーは、バナナやメロンのように追熟しないため、いちばんおいしい“完熟”の状態をその場で味わえるのは、観光農園ならでは。また、時折聞こえる鳥の声や、深呼吸したくなるような森の香りは、心と体をほっと和ませてくれます。
引き継いだ農地を活かす
農園を営むのは、森山誠さんと妻の夏美さん。山の暮らしに憧れがあった誠さんは、夏美さんとともに、2014年に都心から太良町へ移住してきました。
移住当初は農業ではない仕事をしていた誠さんですが、ある日、知人から「おばあちゃんが趣味で25年ほど育てていたブルーベリー畑の引き継ぎ手を探している。」と聞きここを訪れました。そして、この風景に一目惚れ。荒れ始めていた畑でしたが、引き継ぐことを “即決”したのだそうです。その後、自ら農園で汗を流しながら再生を試み、2018年に農園「のんびり山」をオープンしました。
のんびり山の仲間たち
森山さん夫婦は、森の恵みを活かし、様々な動植物と共存しながら果実を育てています。例えば、受粉をしてくれるハチも「のんびり山」の大事な仲間です。また、農園には“鳥を除けるため仕掛け”もありません。周りにある自然林(ヒノキの林)が、その代わりの役割を果たしているそうです。
考え抜いた理想の農業
誠さんが考えた理想の農業は、農薬や化学肥料を使わない手法とのことで、虫は卵の時に手作業で駆除するそうですまた、台風や長雨の影響による収穫量減少対策のためショウガ栽培をスタート。最初の年は一人で頑張りすぎてしまっていたという誠さんですが、2年目からは夏美さんも加わり、二人三脚で農業に勤しんでいます。
宝探し気分で自由に散策
農園には「ラビットアイ」や「ティフブルー」など、数種類のブルーベリーが育てられており、品種ごとに異なる甘みや酸味、食感の違いなどを楽しむことができます。木の高さも様々なものがあり「次はどの実を食べようか?」と大人も子供も夢中になってしまいそう。「摘みたては、甘くて、とっても香り豊かです」と夏美さん。バケツいっぱいに摘み取って、口いっぱいに頬張る子どもたちもいるのだそうです。ちなみに、実の付け根部分が赤黒く染まっていると完熟のサイン。ぜひ探してみてくださいね。
素敵空間でもっとのんびり
「来てくださった方に、もっとのんびり過ごして欲しい‥」そんな想いから、農園の近くにはカフェ「Rest space(レストスペース)」があります。森山さん夫婦が、古い平屋(空き家)を改装し、近所の大工さんや友人の力を借りてコツコツと作り上げてきました。廃材や古道具がセンスよくまとめられた素敵な空間。お二人が育てた果実をふんだんに使った、手作りのドリンクやスイーツが提供されています。
フードロスをゼロに
傷がついた果実も変わらないおいしさがあります。それを伝えるため夏美さんは加工品にも力をいれています。ブルーベリーはカフェでスムージーやジャムに。ショウガはシロップやドライジンジャーに。さらに、レモンやみかん(不知火)使ったジャムも作っています。皮も果汁も、まるごと使用。素材の味が伝わるような優しい甘さに仕上げられています。シーズンオフの間は、マルシェやHPでも購入が可能だそうです。
進化をつづける農園へ
ブルーベリーから始まり、今ではレモン、ショウガ、みかん(不知火)も育てている森山さん夫婦。すべて引き継いだ農地でのチャレンジです。農と自然を次世代に繋ぐため、知識や栽培技術を磨く日々は続きます。今後は、カフェ「Rest space(レストスペース)」を拡大する計画もあるのだとか。気さくに話してくださる森山さん夫婦のお人柄にも心が和み、素敵なひとときを過ごせます。
今年も、たわわに実ったブルーベリーがたくさんの人に食べてもらえるのを心待ちにしているようです。この夏、この場所でしか作れない思い出を作ってみませんか。