多良岳のふもとにある明日香園
有明海が一望できる多良岳のふもとにある明日香園は、ケイトウとオリエンタルユリを生産している農家です。ケイトウの出荷量は年間約45万本。日本随一ともいえる存在です。
ケイトウとは?
ケイトウは、夏から秋にかけて咲く花で、形がニワトリのトサカに似ていることからその名がつきました。ビロードのような美しい光沢と個性的な造形から明日香園では“地上のサンゴ”と呼んでいます。
様々な形がある中で、明日香園では、扇型のボンベイケイトウをメインに毎年約50種類ほど生産しており、グリーンやブラウン、オレンジ、ピンクといった多彩な色があります。この色の多さは明日香園ならでは。中でも、扇形のボンベイケイトウの“白色”は、世界的にも珍しいそうです。
ケイトウの花はどこにある?
ところで、ケイトウの花はどこにあると思いますか?フサフサとした部分が花のようにも見えますが、この部分は茎となります。花はその根元の部分にある“つぶつぶ”とした部分で、ここに種ができます。
オランダでの運命の出会い
明日香園では20年ほど前からケイトウの栽培をスタート。代表の明日香さんの父である会長の秀行さんが、欧州で開催されていた花のイベントに参加した際に、斬新な色と形を持つケイトウに出会い衝撃を受けたことが契機となりました。
「当初、オランダから種を取り寄せ育てましたが、7割廃棄しました。」明日香園の代表を務める明日香さんは当時のことをそう話します。オランダと日本では、気候が全く違うため、最初は商品として出せるものはほとんどなかったそうです。それでも、秀行さんはあきらめずに品種改良を続けました。
「いつ諦めるのだろうか?」周囲からはそんな心配をされたこともあったと言いますが、秀行さんは、品種改良の試行錯誤を続け10年越しに、この太良の農園でオリジナル品種の育種に成功しました。大きさや高さが揃うのも、明日香園のケイトウの特徴です。
「この種をオランダに持って行って蒔いても、上手く咲きません。ここの土地で美しく咲くように改良してきた種なので。」代表の明日香さんはそう話します。今でも、毎年新しい品種改良に励み、一部は全国の花農家に向けて種の販売をしています。
技術力の証
土地に合う良い種があったとしても、ケイトウを美しく咲かせるには、高度な技術が必要と言われています。明日香園の農園に咲くケイトウは、花の高さや大きさが揃っており、これは栽培技術の高さを示しています。明日香園では、植物本来の力を引き出すため、土づくりに力をいれているそうです。
花のある暮らしを提案
「同じグリーンでも、昨年のグリーンと今年のグリーンは違うんです。」と話す明日香さん。花の栽培は、色味のトレンドを考えるところから始まります。また、ドライフラワーや、リースなど、ケイトウの新しい飾り方の提案も行っており、そこには明日香さんや母の十美子さんの感性が光ります。
ケイトウのシーズンが終わると、ユリの栽培が始まります。明日香園で育てる「オリエンタルユリ」が咲き、華やかで甘い香りが漂います。
受賞歴
平成9年 | 第36回長崎県秋季花の総合展示会 花き品評会の部 長崎県知事賞 受賞(オリエンタルユリ) |
平成10年 | 鶴見花き 品評会 受賞(オリエンタルユリ) |
平成13年 | 佐賀農業賞(先進的農業経営者の部)/最優秀賞(農林水産大臣賞)受賞/ 佐賀新聞社賞受賞 |
平成26年 | JA家の光記事活用体験発表 最優秀賞(家の光協会会長賞)受賞 |
平成28年 | 国際フラワー&プランツEXPO(IFEX)優秀賞(ボンベイケイトウ パープル) |
平成28年 | ジャパン フラワー セレクション (新品種 審査会) ライフデザイン特別賞(ボンベイケイトウ キラレッド)/ブリーディング特別賞(ボンベイケイトウ アンティークピンク) |
平成29年 | 国際フラワー&プランツEXPO(IFEX)優秀賞(ボンベイケイトウ ケイコピンク) |
平成29年 | ジャパン フラワー セレクション (新品種 審査会) ジャパンデザイン特別賞 (ボンベイケイトウ パープル)/ラークリエイト特別賞 (ボンベイケイトウ レトロレッド) |
平成30年 | 毎日新聞社第46回毎日農業記録賞 優秀賞受賞 |
令和元年 | 緑白綬有功章 受章(山口十美子さん) |
令和2年 | ジャパン フラワー セレクション (新品種 審査会) カラークリエイト特別賞 (ボンベイケイトウカカオ)/フォトジェニック特別賞 (ボンベイケイトウラビリンス) |
令和4年 | フロリアード2022(オランダで10年に一度の花博) その他の秋の花 部門 銀賞 (ボンベイケイトウ ラビリンス) |
※写真は、令和4年 フロリアード2022(オランダで10年に一度の花博)「その他の秋の花 部門 銀賞(ラビリンス)」の盾とトロフィー。