だぶ
副菜
だぶとは?
唐津市浜玉町に伝承されている「だぶ」は“具だくさんのお吸い物”です。濁りのない澄んだ汁が特徴で、たくさんの具材に汁が“だぶだぶ”としている様子から「だぶ」と呼ばれるようになりました。祝い事では具材を短冊か細切りにし、仏事では三角に切ります。必ず入れる食材は、凍りこんにゃく・きくらげ・花ふの3つですが、家庭によって鶏肉や魚のすり身を入れるところもあります。しょうゆ、塩などを使い、隠し味に砂糖を少し加えて“吸い物風に”味付けします。祝い事や仏事の席など人が集まる時に必ず振舞われる料理ですが、日ごろの食事でも親しまれてきました。ふるさとに帰省した人が、真っ先に食べたくなる“ふるさとの味”の定番にもなっています。
材料(4〜5人分)
- 凍りこんにゃく(水に戻した重さ) 28g
- 乾燥きくらげ 8g
- 花ふ(今回は、まり麩を使用) 10g
- 干ししいたけ 8g
- 蓮根 150g
- たけのこ(今回は旬の時期に砂糖をまぶして冷凍していたもの)150g
- 厚揚げ 100g
- こんにゃく 120g
- かまぼこ 120g
<調味料の作り方>
- 薄口しょうゆ 大さじ3.5弱
- みりん 小さじ2/3
- だし汁 1200cc
(水2000ccに昆布20gを一晩浸してつくった“一番だし”を1200cc使用) - 塩 少々
※砂糖 大さじ1/2
(今回は、あらかじめ砂糖をまぶして冷凍保存したものを使用しているため、調味料として砂糖は使用しませんが、生のたけのこを使う場合は砂糖を使用します)
作り方
(1)凍りこんにゃくを水に戻し、絞って短冊形(長方形)に切る。
(“凍りこんにゃく”は、凍らせたこんにゃくを乾燥させたもの)
(2)干ししいたけを水に戻し、絞って短冊形(長方形)に切る。
(水に戻す際に、砂糖を少し入れると柔らかくなる。切る時は、他の具材と大きさを合わせるのがポイント)
(3)蓮根の皮をむき、下茹でした後、乱切りに切る。(他の具材と大きさを合わせる)
(茹でる際に、酢を加えると変色を和らげることができます)
(4)たけのこを短冊形(長方形)に切る。(他の具材と大きさを合わせる)
※たけのこは冷凍保存する前に砂糖をまぶしておくと解凍したとき柔らかくなります。今回は、その方法で保存・解凍したたけのこを使っています。
(5)厚揚げは、油揚げの部分と豆腐の部分を切り分けてから、短冊形(長方形)に切る。
(他の具材と大きさを合わせる)※油揚げと豆腐でも代用ができますが、厚揚げを外側の油揚げ部分と、内側の豆腐に分けて切ると、一石二鳥となるためおすすめです。
(6)かまぼこを、短冊形(長方形)に切る。(他の具材と大きさを合わせる)
(7)鍋にだし汁を入れて火にかけ、厚揚げ、しいたけ、凍りこんにゃく、こんにゃく、蓮根、きくらげ、かまぼこの順に入れ、具材に火が通るまで強火でたく。(具材から「だし」が出るものから順に入れるのがポイント)
(8)アクを取りながら弱火にする。
(しいたけの戻し汁を加えても良い。沸騰すると澄んだ汁ができないので火加減に注意する。)
(9)みりん(砂糖)、薄口しょうゆ、塩などを加えて味を整える。
(今回は、あらかじめ砂糖をまぶして冷凍保存したものを使用しているため、調味料として砂糖は使用しませんが、生のたけのこを使う場合は砂糖を使用します)
アクを取りながら弱火にする。
(10)水に戻したまり麩を絞り、鍋に加える。
(11)味見をして、完成。
教えてくれた方
佐賀県農業士会監事 ふるさと先生 JAからつ女性部 大谷典子さん
「ふるさと先生」として、地元の小学生や保育園の保護者を対象にした料理教室を開き、郷土料理の伝承と地産の特産品を使った料理やスイーツ、パンづくりなどを若い世代に伝える活動をされています。近年では、高校生と一緒に“映える”郷土料理の開発や、地域の特産品である、みかんとけいらん(菓子)を組み合わせた新しい菓子を考案するなど、郷土の味を進化させる試みも行っています。
大谷さんから一言
「だぶ」は、古くから食材が集まる商人町博多の家庭料理として伝わりました。女性が嫁いでいく際に、周辺の町や村へと伝わり、この唐津市浜玉町にも伝わりました。
博多の「だぶ」は、葛をかけるのが特徴で、「お座敷だぶ」と呼ばれています。唐津市浜玉町では、季節の野菜と地鶏を大ぶりに切って甘めに味付ける家庭もあり、「庭先だぶ」と呼ばれています。おのおのの家庭で味つけが受け継がれています。