日本有数のれんこんの産地”佐賀県白石町”
佐賀県白石町に広がる白石平野。ここは日本有数のれんこんの産地として知られています。「土壌に恵まれているからおいしいれんこんが育つんです」そう話すのは、この地でれんこん栽培を始めて約100年を迎える黒木農園の3代目、黒木啓喜さんとその奥さんの貴子さん。有明海を包み込むように広がる白石平野の土壌は、有明海の干拓地特有のミネラルを多く含んだ重粘土質で栄養分の持ちが良くれんこんが良く育つそう。しかし、そのおいしさは土壌の力だけではありません。黒木さん夫婦のようにれんこん栽培を代々引き継ぎ、その魅力を伝えたいと奮闘する生産者がたくさんいるのです。
ところで、れんこんの食感は、収穫時期によって変化することをご存じですか?実は、収穫初期の8月中旬頃~9月まではみずみずしくてシャキシャキした食感。それ以降はモチモチとした食感になるんです。これは育つ過程でれんこんの実の部分の成熟が進むからだそう。さらに、れんこんは節(ふし)によっても食感が変わるそうです。黒木さん夫婦はれんこんをより美味しく食べてもらうために、収穫したれんこんは「泥付き」で「節(ふし)」がつながった状態で発送します。泥は、空気や光かられんこんを守り鮮度を保つのに役立つそうです。
れんこんの魅力を全国にもっと届けたい
黒木さん夫婦が大切に育てたれんこんは「蓮恋(はすこい)」と名付けられブランド化しています。「蓮恋」は味の良さから東京の市場でも評判が良くたくさんの注文が寄せられています。全国への出荷量を増やすため2014年には「黒木農園グループ」を設立。メンバーは白石町の農家で構成されており全員が「佐賀県特別栽培農産物」の認証を受け、農薬や化学肥料を減らす栽培を実践しています。堆肥や油粕など有機質の肥料を使うには、与える時期の見極めが重要。そこでメンバーは毎週勉強会を開き、品質の統一を図っているそうです。黒木さん夫婦の挑戦は栽培だけではありません。「黒木農園」のホームページを充実させることで全国からの注文を可能にするなど積極的に販路を拡大し関東や関西の市場にアプローチ。今では食にこだわる全国の一流シェフからの注文も増えているそうです。黒木さん夫婦は時代の先を見つめ、常に新しい農家の在り方を模索しています。
おいしさを知ってもらうためのチャレンジ
「黒木農園」のホームページには様々なれんこんの商品が掲載されています。中でも「れんこんパウダー」はれんこんを皮付きのまま乾燥させてパウダー化したもの。栄養が豊富でリピーターも多いそう。その他、「れんこん酢」や「れんこんみそ」、「れんこん蒲鉾」など、アイディアいっぱいの商品も。毎年1個以上のれんこんの新商品開発にチャレンジしているそうです。「れんこんの美味しさを知ってもらうきっかけになると嬉しい。“れんこんと言えば、黒木れんこん(蓮恋)”と言ってもらえる存在になりたい!」と元気に話す黒木さん夫婦。白石平野で育つれんこんの可能性は広がるばかりです。